上野原通信 No.266
マンリョウ(サクラソウ科 Ardisia crenata)は、ヤブコウジ属の常緑小低木です。東アジアからインドのあたたかい地方に分布しています。センリョウとともに、万両の名から、正月の縁起物とされています。夏に白い花を咲かせ、赤い実は翌年2月ごろまで見られます。葉縁が波立って鋸歯があるのが特徴です。
鳥は、冬に食べ物がなくなってくると、ピラカンサやマンリョウなどの赤い実を食べる様です。あまりおいしくないので、色で鳥を誘っているようです。
アメリカのフロリダ州では、日本から持ち込まれたマンリョウが、有害帰化植物に指定されています。林床の90%を覆っている場所もあるとか。生活環境が異なるときに野生の生物を移すと、爆発的に増え、生態系を変えてしまう例の一つです。
「自然」とか「野生」とか「天然」とか、よく吟味して使わなければならない言葉です。批判的精神がますます重要になってきていますが、そのためには、言語的な力、論理的な思考が必要です。
2022.12.18 川田 好博