上野原通信 No.305

 10年前まで勤めていた多摩森林科学園は、サクラ保存林で有名です。しかし、このところ、園内の整備の都合上、部分開園が続いています。3月からは、サクラの季節が始まりますが、全面開園の情報はありません。

 写真は、カワヅザクラ(Cerasus × kanzakura ‘Kawazu-zakura’)です。オオシマザクラとカンヒザクラの野生雑種です。オオシマザクラは、伊豆諸島と伊豆半島が分布域で、カンヒザクラは、台湾や沖縄などで自生しています。カワヅザクラは、静岡県河津町に原木があります。自生していたオオシマザクラと植栽されていたカンヒザクラの間で雑種が出来たようです。1955年に発見され、1974年に新しい栽培品種と確定されました。

 サクラ保存林を見学すると、様々なことを学ぶことができるのですが、今は、一部しか見ることが出来ません。それでも、最近の植物学の発展をたどることができます。DNA鑑定で、進化の系統を確かめることができるようになったことも、植物分類学を一変させました。

 自然科学の進歩は、目覚ましいものがあります。5年前の知識が陳腐化する例は枚挙の暇がありません。それに追いつくのは大変です。でも、科学の進歩を広めていかなくては、国民と解離して、支配の道具にされそうです。
2026.3.15 川田好博