上野原通信 No.302

マムシグサ(サトイモ科 Arisaema serratum)。偽茎の紫褐色のまだら模様がマムシに似るので名付けられました。テンナンショウ属は、変異が激しく、同定の難しい植物です。葉は2枚で、それぞれ7~15枚の小葉が鳥足状についています。秋に赤~橙色のとうもろこしのような果実を付けます。

 全草有毒で、シュウ酸カルシウムの針状結晶、サポニン、コニインなどの有毒物質を含みます。特に球根の毒性が強く、誤食すると死亡することもあります。

 ものに名前をつけることによって、その認識を確かなものになります。しかし、名前をつける行為は、同時に実態と解離を始めます。その言葉が何を指すのかを確かめながら、議論を進めないと、自分の意図した結果からかけ離れたものになってしまいます。言葉を軽々しく扱う風潮を苦々しく思うこの頃です。特に教育や政治の分野では、言葉の持つ意味を吟味すべきだと、自戒を含めて痛感しています。生き方や暮らしに大きな影響を及ぼします。

図は「日本の野生植物Ⅰ」より

2025.12.6川田好博