上野原通信 No.299

コブシ(モクレン科 Magnolia kobus)。和名である「コブシ」の由来については、諸説あります。つぼみの形を握りこぶしに見立てたとする説、つぼみが開花する様子を握りこぶしが開く様子に見立てたとする説、でこぼこした果実(集合果)の形を握りこぶしに見立てたとする説などがあります。和名「コブシ」が、そのまま英名(kobus magnolia)や学名の種小名(kobus)の基となりました。

 

 その昔、被子植物は、単子葉類と双子葉類の2つに分類されていました。単子葉類の後に、被子植物が進化してきたと考えれれてきました。しかし、DNAによる系統分類が発展してくると、単純でないことがわかってきました。単子葉類が進化する前に、基部被子植物群が現れ、その後、モクレン類など植物が出現します。単子葉類の後に、真正被子植物が現れてきます。モクレン類が出現した時代には、まだ昆虫は生まれていなく、花粉を運ぶのは、甲虫類と考えられています。そのために、モクレン類の雌しべは、比較的丈夫になっています。

 現象、自然現象も社会現象もその本質を理解するためには、厳密な科学的な分析が必要です。学問的な進展がより正しい現象の理解に続いています。

2025.9.24 川田好博