上野原通信 No.298

 サワギキョウ(キキョウ科Lobelia sessilifolia)。キキョウ科ですが、花の形は随分異なります。上唇は2裂し、下唇は3裂しています。花弁の上に釣り竿状に見えるのが、花糸(雄しべ)と花柱(雌しべ)が合わさったものです。他のキキョウ科の植物と同じように、雄性先熟で、花粉を出している雄性期とその後の雌性期に分かれています。やや湿性の山野に生えています。

 南会津の駒止湿原で撮影してきました。駒止湿原は、谷頭の凹地にできた湿原で、高層湿原、低層湿原、中間湿原などがコンパクトに纏まっています。駐車場からもそんなに高低差なく行くことができます。高層湿原ができるのは、植物の枯死体の分解が遅く、泥炭層の堆積がすすむ条件のあるところ、寒冷・多湿という条件が必要です。多様な植生に恵まれた日本です。

 南会津には、奥会津博物館があり、本藍染が体験できます。前沢集落には、現住の曲家が13戸も建ってるなど、見どころがたくさんあります。

 南会津の中心である会津田島駅は、檜枝岐を通じて尾瀬への福島県側からのアプローチの玄関になっています。5歳と3歳の子どもを連れて、檜枝岐から尾瀬を縦断したのは、1976年のことでした。

2025.8.22 川田好博