上野原通信 No.284
レンゲツツジ(ツツジ科 Rhododendron molle subsp. japonicum)は、山地の林縁や草地に生える落葉小低木です。5-6月に朱色の花を咲かせます。日本特産と言われますが、中国原産のトウレンゲツツジの変種とされています。
全木に痙攣毒を含んでいて、「ウマツツジ」「ベコツツジ」とも呼ばれ、家畜が食べると呼吸停止などの症状が出ます。花の蜜も有毒で、ミツバチが集めた蜂蜜で中毒を起こした例も報告されています。
尾瀬ヶ原や八島湿原などの高層湿原の回りでも自生しています。乾燥に弱いことも関係しているのでしょう。
尾瀬は生態系を学習するうえで、適したフィールドです。尾瀬ヶ原などの高層湿原は約6000年くらいかけて形成されてきましたが、訪れる人の増加によって、踏みつけによる湿原や登山道周辺の裸地化、汚水等による水質や水生生物、植生の改変、移入植物の侵入など生態系に大きな変化をもたらしてきました。近年は、ニホンジカによる食害も問題になってきています。生態系は、長大な時間をかけて、一定の安定化したものを作り上げているのです。高層湿原だけではなく、他の生態系についても当てはまることです。
2024.6.8 川田 好博