上野原通信 No.278

サネカズラ(マツブサ科 Kadsura japonica)は、常緑のつる性木本植物です。暖地に自生し、丘陵・山野の広葉樹林の林縁や林床に見られます。7-8月に淡黄色の花を咲かせ、秋から晩秋に果期を迎えます。古くから日本人になじみ深い植物です。
 名にしおわば 逢坂山のさねかずら 人に知られで くるよしもがな
         後撰和歌集/百人一首 三条右大臣
 あしひきの山さな葛も みつまで妹に逢はずや 我が恋ひ居らむ
万葉集 詠み人知らず
 サネカズラのつるが絡み合うことから、小寝(さね=一緒に寝る)を掛けています。サナカズラ、ビナンカズラなど別名が多くあります。若いつるから取った粘液が整髪料として利用されたことから、美男葛。
 一年が過ぎ去るのも早いものです。年初は市議会議員選挙があり、落ち着かない日々でしたが、ようやく普通の日常が戻ってきたような気がしています。それにしても、今年の天候はあまりにも不自然でした。気候と生態系の変動が、私たちの暮らしにも大きな影響をもたらしてきています。新しい年には、新しい光が差し込むことを願っています。

 

2023.12.17 川田 好博