上野原通信 No.277
ミツデカエデ(ムクロジ科 Acer cissifolium)は、日本固有種の落葉高木です。北海道(日高地方、夕張地方、渡島半島)、本州、四国および九州に分布し、温帯の山地の湿り気のある肥沃な谷間などに生育しています。渓流沿いや林道わきなどの比較的日のあたる場所に多く見られます。三出複葉の小葉を対生につけます。5月頃総状花序の花をつけ、結実します(写真右)。冬でも実を残すことが多く、同定に役立ちます。秋に、黄色~紅色に葉の色を変えます。
カエデ属は昔、カエデ科に分類されていました。花部器官の基本的構造が似ているので、トチノキ科とともに統合されました。カエデ科の方が馴染み深いのですが、旧カエデ科は、2属150種しかなく、旧ムクロジ科は、140属4000種もある大家族で、そちらに吸収されてしましました。
カエデ科の実は、翼果と呼ばれています。風に飛ばされて遠くまで運ばれます。結実したときは、二つの種子がついていますが、飛ぶときは離れて、種子を中心に翼がくるくる回ります。
自然の不思議には、まだまだ奥深いものがあります。
2023.11.19 川田 好博