上野原通信 No.275

 エゴノキ(エゴノキ科 Styrax japonica Siebold et Zucc.)は、果実を口に入れると喉や舌を刺激してえぐい(えごい)ことに由来します。別名チシャノキ、ロクロギ、チサノキなどとも呼ばれています。シーボルトが学名付与にかかわっています。日本だけでなく東アジアに自生しています。

 5-6月頃白い花が咲きますが、果期は10月頃です。果皮にはエゴサポニンという配糖体の有毒物質が多く含まれています。胃や喉の粘膜に炎症を起こし、溶血作用もあります。

 若い実をすりつぶすと洗浄作用があり、洗濯に使ったともいわれています。

 牧野富太郎をモデルにした朝ドラ「らんまん」が終わろうとしています。ロシアの植物学者マキシモビッチも名前だけ登場しましたが、ツンベリーやシーボルトなど、オランダ商館の医師として来日し、植物の研究をしたことも忘れてはなりません。鎖国の時代であっても、ヨーロッパにも開かれた窓を持っていました。あまりにも排外主義的で差別的なイデオロギーが充満しているように思えてなりません。もっと、世界に開かれた目を持つ必要があるのではないでしょうか。

2023.9.27 川田 好博