上野原通信 No.272

 ナツツバキ(ツバキ科 Stewartia pseudocamellia)は、シャラノキ(沙羅木)、サラノキ、シャラ、サルナメ、シャラソウジュ、サラソウジュ(娑羅樹、沙羅双樹)などの別名があります。

 平家物語の冒頭に出てくる「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」の沙羅双樹は、インド原産のフタバガキ科の常緑樹。ナツツバキは、日本から朝鮮半島にかけて自生します。やや深山の谷間に自生し、涼しいところ、やや湿潤なところに生える樹木です。

 10年目くらいから樹皮が薄く剥がれ、褐色や灰褐色の斑紋が目立つようになります。近縁のヒメシャラは、赤褐色の斑紋なので区別することができます。朝に花が咲くと夕方には落花する一日花です。花弁は5枚、縁には細かいシワがあります。

 23年前自宅を建てたときに、シンボルツリーとして、ナツツバキを植えました。梅雨の時期に毎年花を咲かせ、楽しませてくれます。庭木の管理も、体力の衰えなどで、年ごとに大変になってきますが、できるだけ自分でしたいと思っています。諸行無常は常ですが、その中で自分の処し方を考える日々です。

2023.6.21 川田 好博