上野原通信 No.271
ミズバショウ(サトイモ科 Lysichiton camtschatcensis) と聞くと、尾瀬や「夏の思い出」(江間章子作詞、中田喜直作曲)が有名で6月が花期と思われていますが、雪解けとともに咲く花です。日本各地に群生地があります。尾瀬などの高地は5月下旬から6月に咲きますが、南限の兵庫県養父市では、4月下旬に咲きます。
花弁のように見える白い部分は、仏炎苞と呼ばれています。中心部に黄色の突起のような数百の小さな花があります。種小名は、カムチャッカ半島に由来しています。
今年のゴールデンウイークに長野県を訪れ、乗鞍高原一ノ瀬園地、鬼無里奥裾花自然園、斑尾高原沼の原湿地の3か所でミズバショウを観てきました。どこも木道が整備されています。木道がなければ、湿地が踏みつけられ、すぐに乾燥化し、湿地植物は絶滅してしまいます。どちらの場所も自然豊かなところですが、人の手によって管理しなければ守られません。
一の瀬園地では過去に放牧が行われていました。斑尾高原は、越後と信州を結ぶ古道がありました。いずれも、人の営みは廃れてしましました。現在も、栄枯盛衰が大規模に起こっています。
2023.5.15 川田 好博