上野原通信 No.253

 イロハモミジ(Acer palmatum ムクロジ科)の紅葉は美しいです。紅葉を見るために毎年出かけていましたが、この間の新型コロナウイルス感染症の影響で、遠くに出かけることに躊躇がありました。北アルプス・涸沢のナナカマド、京都・高雄のもみじなど思い出すことがたくさんあります。もう涸沢に登って紅葉を見る体力は残っていません。きれいな紅葉に出会うための条件、急激に気温が低下し、その後十分な日差しがあること、降霜に会わないことが挙げられますが、好条件がそろうのも毎年ではありません。感染状況が落ち着いたので、香嵐渓のある愛知県豊田市足助町に行ってきました。足助町は街並みの整備にも力を入れています。

 

 紅葉の生理的機構はかなり複雑で興味深いものです。気温が低下すると植物の光合成能力は落ちてきますが、受光すれば活性酸素が発生するために、細胞に脅威を与えます。そのためにクロロフィルの分解が始まります。と同時に、光合成産物としてアントシアニンができて赤色に発色するのですが、未だに不明な部分があります。

 

 自然に身をゆだねることも残り少なくなってきたようですが、それまでは、時間を大切に使いたいと思っています。

    

2021.11.18 川田 好博