上野原通信 No.250
タカサゴユリ(Lilium formosanum ユリ科)。台湾固有種で、19世紀にイギリスに導入され、日本では1924年に園芸用に移入された帰化植物として全国に分布しています。明るい原野や荒野で育ち、海岸線付近から低地、高山帯に至るまで広く分布しています。種子が軽く、飛散して分布域を広げています。
このタカサゴユリ、ちょっと厄介な植物です。外来生物法では、特定外来生物に関して規制を設けています。そのほかの外来生物に関しては、要注意外来生物が定められていました。要注意外来生物には、規制がなく、どのように対処するのかも不明確だったので、2014年に「生態系被害防止外来種リスト」が制定されました。このリストにタカサゴユリが記載されています。ここでは、他のユリとの交雑、ウイルス病の感染拡大等に気をつけるようにと注意が喚起されています。特に奄美地方の絶滅危惧種のウケユリの遺伝的かく乱が心配されています。
新型コロナウイルス感染症の拡大は危機的な状況です。この自然がもたらす脅威に関しては、科学的な根拠に基づき対処することが何よりです。政治的な思惑から出される方策は、必ず反撃を受けます。
2021.8.27 川田 好博