議案第9号 上野原市特定乳児等通園支援事業の運営に関する基準を定める条例制定について、議案第9号の委員長報告は可決すべきものです。反対の立場から討論を行います。
議案第9号は、いわゆるこども誰でも通園制度を実施するにあたって、事業者が守るべき運営の基準を定めるものです。
現在、日本には、様々な乳幼児施設が存在しています。保育所、幼稚園、認定こども園、認証保育所、院内保育所、児童養護施設、家庭的保育事業所(いわゆる保育ママ)、ファミリーサポート事業、さらには無認可保育所などなど。そして今回は、乳児等通園支援事業が追加されました。
こうした複雑な状況になった背景には、どの省庁が監督するのか、すなわち、どのような基準をもとに、どのような資格を持った者が従事するか、また、負担はどのようにするかによって分けられているからです。保育所は児童福祉法によって設立され、保育所保育指針が定められています。幼稚園は、学校教育法によって設立され、幼稚園教育要領が定められています。現在は、こども家庭庁が作られ、一応一体化されたように見えますが、保育所、幼稚園の持つ性格は変わっていません。認定こども園では、1号認定、2号認定、3号認定と分けられています。1号認定、2号認定はどちらも3歳以上児が対象ですが、1号認定は基本的に午後3時半までであり、2号認定では、午後4時半あるいは午後6時半までの保育時間となっています。2号認定、3号認定(こちら3歳未満児が対象ですが)を受けるためには、「保育を必要とする事由」が求められています。
1990年代後半から、保育所と幼稚園との二元的な対応について一体化を求める議論が起こり、2006年に「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が制定され、認定こども園制度が開始されました。2022年にこども家庭庁が設立され、一体化が強化されたように見えますが、保育所保育指針と幼稚園教育要領という2つの基準は残ったまま、保育所については「保育に欠ける」という条件がそのまま残っています。
戦後の高度経済成長期に入って、核家族化が進もとともに、男性労働者の長時間労働、「24時間闘えますか」などという言葉とともに、夫は外で仕事、妻は家事・育児という性別による固定的な役割分担が強められてきました。低すぎる最低賃金制度、専業主婦に対する税制や年金制度の優遇がそれを社会的に支えてきました。ところが、その一方で、核家族、専業主婦という仕組みは、子育てを女性に押し付け、孤立化や育児ノイローゼという副作用をもたらし、保育所や幼稚園の社会的役割が見直されてきました。認定こども園ができても、3歳未満児については問題が残りました。この問題について、こども家庭庁は、こども誰でも通園制度を打ち出しましたが、月10時間しか利用を認めないという条件をつけました。この月10時間以内という規定は、条例にも、その条例が依拠する内閣府令にはありません。しかし、国が給付を認めるのは、月10時間と定めるとしているので、実質月10時間分しか認定しない制度です。こども家庭庁がそうした制限をするのは、予算上の制約としか考えられません。
2024年12月、東北大学エコチル調査宮城ユニットセンターが、エコチル調査に参加した約 4 万人のデータを解析し、保育施設利用と子どもの発達について調べた結果、1 歳未満から保育施設を利用していた子どもは、3 歳まで保育施設を利用しなかった子どもに比べて 3歳時点で発達が良いことが明らかになりました。
乳幼児については、安定した大人との関係が大切であることは明らかです。月10時間しか利用できない制度は子どもの成長にとって好ましくありません。3歳未満児でも希望するすべてのこどもを保育所、こども園に受け入れることが必要です。そのためにも、子どものための保育教育予算を大幅に増やし、保育士の確保、待遇改善のために力を尽くす政治に転換することを求めるものです。