議案第18号 令和8年度上野原市一般会計予算の委員長報告は可決すべきものです。委員長報告に反対する立場から討論を行います。
来年度一般会計予算は総額115億4455万2千円の規模で、今年度の本格予算と比べれば、2億4304万5千円の減、減少率2.1%となっています。その中でも、産後ケア拡充事業、入院時食事療養費助成制度、公立保育施設午睡時ベッド導入事業、急患診療体制、無形民俗文化財継承支援事業、フリースクール利用助成事業、ファミリー・サポート・センター事業、環境型学習プログラムなど、積極的な面も多々あります。子ども医療費無料化制度、重度心身障がい児の窓口無料化、学校給食費の無料化など、子育て支援について、県内でも先進的な取り組みをしてきたことは、高く評価すべきことがあると思っています。
しかし、そうした施策にもかかわらず、上野原市の人口減少に歯止めがかかっていません。もちろん全国的にも人口減少が進行しているので、それに抗することは困難だと思います。問題は人口減少率が全国平均や県平均よりも高く、激しい人口減少が起きていることです。東京に隣接している他県の状況とも大きく異なっています。移住・定住の取り組みで、他地域から移住されてきていただいた方、市内で起業した方などが増え、一時期、社会的な異動がプラスになったこともありますが、大学入学や就職を期に、市外に転出した若者が戻ってこない例が多いのが現状です。
東京都心部では地価が高騰し、マンション価格が上がり、普通の収入では購入できない程になってきています。こうした状況でも、上野原市から人口流出が止まらないのは、社会的資本の未整備からきているのではないでしょうか。
第一に、地域公共交通が整備されていないことです。車がないと、まともな生活ができない地域が拡大しています。
路線バスとデマンドタクシー等の役割分担をしっかりすべきです。通勤・通学、あるいは買い物や通院が公共交通機関でできる地域の拡大を考える必要があります。東京に隣接している他県で人口が増えているのは、鉄道の駅周辺です。上野原市の場合、上野原駅が市街地と離れているというハンディがあるので、その間の路線バスの利便性を高める必要があります。人口が集中している場所では、しっかりと路線バスに十分働いてもらう、それ以外では、デマンドタクシーなどの利便性を高めるという役割分担をしっかりとする必要があります。
第二は、雇用の問題です。首都圏に通勤する人たちのためには、前述の駅への通勤の利便性を高めるとともに、市内の事業所に対する支援をしっかりと行うことです。中小零細業者が生き残るためには、生産性を高める必要があるとの答弁がありましたが、それは、完全な自由競争が存在しているとの前提です。力の差があれば、生産性を向上させたとしても、その収益は力の大きなものに吸収されかねません。新たな需要先の開拓、企業間の共同の促進、賃上げ企業に対する応援など、市内の中小零細業者に対する全般的な支援策が求められています。農業や林業に対する支援も、その実態にあった支援策が必要です。
第三は、保育・教育の問題です。子育てしている家庭では、その教育費の負担の重さは大変なものです。経済的負担の軽減は揺るがせない課題です。しかし、それだけでは、転入の促進に繋がりません。いま多くの自治体では、学校給食費無料化に取り組んでいます。教育といえば、「特色ある教育」などと一般的には言われますが、目新しいことに取り組むことではありません。一人ひとりの子どもが、その人権を尊重され、基礎的な知識を身につけ、しっかりとした人間関係が作り上げられるということが必要ではないでしょか。さらに言えば、豊かな自然環境が周囲にあるので、それを活かした教育の展開ができれば、それが一つの魅力につながっていきます。そのためにも、教職員や保育士等がゆとりをもって保育や教育にあたれる環境を作ることに行政の責任があると思います。
第四に、環境保全の問題です。ゼロカーボンシティの取り組み、スギ花粉対策、鳥獣被害対策など、環境保全についての課題が提起されています。この環境保全は、単に「自然を守ろう」というスローガンでは不十分です。市街地、河川流域、農耕地、里山、人工林、天然林とそれぞれにあった対策が必要です。上野原市には特別天然記念物に指定される地域はありません。その濃淡はあれ、ほとんどが人間と関係を持った地域です。人間の社会的・経済的循環が持続するような対策が求めれています。どのような活動をすれば、それが保たれるのか、知恵を出し合う時代です。生態系を保つためには、どうすればいいのか、研究と教育を求めます。
以上、一般会計予算の積極的な側面を認めつつ、今後も必要な課題を指摘して討論とします。