上野原通信 No.293
オオイヌノフグリ(オオバコ科Veronica persica)は、秋に芽を出して他の植物が繁茂しない冬に横に広がって育ち、早春に多数の花をつけ、春の終わりには枯れてしまいます。夏の間は種子で過ごします。寒さに耐えるため、細胞内の糖濃度を高める機能を持ち、葉と茎に生える短い毛で雪と霜を遠ざけて保温しています。
花の中央に1本の雌しべがあり、左右に雄しべがあります。虫媒花ですが、雄しべが内側に曲がり、自家受粉も可能です。果実はやや扁平な幅の広い倒心臓形(ハート型)で、縁に長い毛があり、中に種子が8 - 15個入っています。フグリ(陰嚢)には似ていません。
西アジアあるいはヨーロッパ原産の帰化植物です。明治初年に日本に入ったと推定され、1884年(明治17年)あるいは1887年(明治20年)に東京で見られてから急速に拡大し、1919年(大正8年)には全国的にありふれた草になっています。国立環境研究所の侵入生物データベースに登録されていますが、法的な規制の対象にはなっていません。
地元の地史について勉強中です。籐ノ木愛川断層群が、関東山地と丹沢山地の境であり、古い時代の海溝の名残だと知り、大地のダイナミックな動きに魅力を感じています。時間が足りない。
2025.3.6 川田 好博