上野原通信 No.291

 シキミ(マツブサ科 Illicium anisatum)は、 シキミ属の常緑性小高木です。葉は枝先に集まってつき、春に枝先に多数の黄白色の花被片をもつ花をつけます。今の時期はまだつぼみです。本州から沖縄諸島および済州島に分布しています。アニサチンなどの毒を含み、特に猛毒である果実が中華料理で多用される八角に似ているため、誤食されやすい危険な有毒植物です。葉や茎、根、花、果実、種子など全体が有毒です。なかでも果実、種子は毒性が強く、食用にすると死亡する可能性があります。実際、事故が多いため、シキミの果実は植物としては唯一、毒物及び劇物取締法により劇物に指定されています。ときに仏事や神事に用いられ、しばしば寺院や墓地に植栽されています。また材や抹香、線香として利用されることもあります。

 阪神淡路大震災から30年が経ちました。高速道路が崩壊したり、長田区の火災の映像が今でも鮮明に記憶の中にあります。後日、淡路島を訪れた時に、野島断層保存館を見学し、地震の持つエネルギーを目の当たりに見て、改めて自然の中で生きていくことについて考えさせられました。正しい自然認識を持つためには、日々の研鑽しかないと思う今日このごろです。そして正しい社会認識・歴史認識についても。

 

2025.1.20 川田 好博